悲ずれても橤

作曲家ばたさと&作詞家かりんが、音楽に魅せられた軌跡

盲目の魔法使い

「音楽を続けて下さい。ぼくは目が見えなくなってから、ピアノを始めました。」

一種の呪いというか、魔法のようなものを名前も知らないある方からかけられました。

 

明けましておめでとうございます。

どうも、かりんです。

 

 いきなりですが、父は障害者の人の仕事を作る仕事をしています。いわゆる作業所で働いています。これから書き連ねるのはわたしが中学3年の時の話です。小さな作業所のイベントのカフェブースで父の許可を頂きフルートを生演奏しました。

 誰もがわたしの方など向かず、紅茶を飲み、駄弁っているのに、一人、サン グラスをかけた強面の男性がじっとわたしの方をガン見していました。わたしは緊張でぶるぶる音を震わしながら、アメージンググレースを吹き終わりました。その男性が杖をつきながら私の方へ歩みより、握手しながらこう言いました。

「最後のアメージンググレース、感動しました。今みたいに心を込めて伝えようと演奏すると必ず伝わります」

その時、わたしはその男性が目が見えないことに気がつきました。

「音楽を続けて下さい。ぼくは目が見えなくなってから、ピアノを始めました。」

 その時は「音楽なんて辞めるわけないじゃん!」と内心反抗していましたが、その年に色々あって音楽を辞めました。

 最近も音楽が嫌いになりました。

耳に纏わりついて鬱陶しいし、騒がしいし、一人にして!!って感じ。

倦怠期というか。「音のない音楽」「無音」が欲しくなる。

だけど、「音楽を続けて下さい。ぼくは目が見えなくなってから、ピアノを始めました。」という男性の言葉が脳内で再生される。

 結局19年間で、楽譜を読めるようには成らなかったし、楽器は続かないし、音楽したいという情熱もすぐ冷める。音楽向いてないなーって常々思う。歌詞を書き始めたのは、音楽にどうしてもしがみつきたかったから。本当にダッセーなと!!

音楽がなくても生きられる人格と、音楽がなくては生きられない人格が自分の中で争ってる感じで胸糞悪い日々です。

今は、メロディーと歌詞は浮かぶので、ひたすら録音しています。

未来の自分なら形に出来るかもしれないと、淡い希望を抱いて。